断定を避ける表現(Hedging)を使用する
アカデミック・ライティングでは、100%確証がない主張には断定表現を避けることが一般的です。確固たる論拠がない情報を断定することは、事実と異なる情報を述べることと同じであると考えられるからです。
例えば、
- Japanese people are quiet and diligent.
- 「日本人は静かで勤勉である」
上記のような主張を述べた場合、「日本人の中にもうるさい人もいるし怠惰な人もいる」という反証を挙げることができます。
そのため、
- A number of Japanese people are quiet and diligent.
- 「日本人の多くは静かで勤勉である」
のように、ニュアンスとして「割合が多い」というように表現を置き換えたり、
- Japanese people are likely to be quiet and diligent.
- 「日本人は静かで勤勉になりがちである」
のように「〜という傾向がある」というように表現を置き換えることで、主張を和らげることができます。
特に異文化間のコミュニケーションでは読み手が文字通りに意味を理解してしまう恐れがあるため、くれぐれも間違った情報として認識されないように断定表現を避けることを意識してみると効果的です。(例外的にビジネスシーンではあえて断定表現を用いる状況もあります)
これを「Hedging(ヘッジング)」と言い、自分が伝えたい情報をより適切に相手に理解してもらうことができるようになります。
Headingの表現例
1) 断定的な数量を表す形容詞を避ける
all や every など、「全ての」という意味を表す形容詞を避けて、抽象度の高い形容詞に置き換えることで断定表現を避けることができます。
- People say… → Most people say…
- Everyone thinks… → Many of us think…
- All of them agree… → The majority of them agree…
2) 副詞を使用する
always や 100% などの断定的な表現以外の副詞を活用することで、同様に断定表現を避けることができます。
IELTSのライティングで「To what extent do you agree or disagree with ~(〜にどれくらい同意/反対か)」という問題が出題されますが、それも同様に「どの程度か」を表す副詞を用いて表現することが一般的です。
- It is impossible that… → It is almost impossible that…
- It is true that… → It is probably true that…
- The situation will improve… → The situation will possibly improve…
3) 助動詞や仮定法を使用する
副詞を使用するのと同じように、助動詞や仮定法を用いて断定表現を避ける場合もあります。
- It is a good trend… → It can be a good trend…
- The economy will recover… → The economy could recover…
- I do not recommend… → I would not recommend…
4) Hedging特有の表現
最後にHedging特有の表現があります。これらの表現は、日常会話でも頻繁に使われるので必ず覚えておきましょう。
- It seems/appears that… or It seems/appears to (be)…
- It looks as if…
- It is believed/thought that…
- It is generally said that…
これらの表現はライティングだけでなく、スピーキングでも非常に効果的です。
確証のないことを断定的に話すことで、聞き手との認識の差がうまれるおそれもあるので日頃から意識的にHedgingを使うことに慣れておきましょう。
- Hedgingとは断定表現を避けるための表現手法
- 100%確証のない情報はHedgingを活用する
- Hedgingを使うことで聞き手が誤った認識を持つのを防ぐことができる