リスニング力を伸ばすためには
リスニング力を伸ばすためには、以下の2つの能力を総合的に伸ばす必要があります。
- 英語の音を認識する能力
- 聴き取れた音の意味を理解する能力
音声情報を聞いて内容を理解するという行為は、上記で述べた「音を認識する能力=音声知覚力」と「意味を理解する能力=意味理解力」の2つから構成されています。
つまり、英語が聴き取れないという課題はいずれかの能力に根本的な原因があるということが考えられます。
英語を聴き取れない原因を正しく理解しよう
リスニングの構成要素がわかったので、次は英語が聴き取れない原因はどこにあるのかをより具体的にしていきます。
以下の図は、「英語が聴き取れない」課題に対する原因を細分化したものです。
意味理解力に原因がある場合
リスニングができない時に着目するべきポイントは、「トランスクリプトを読めば理解できるのか」という観点です。
トランスクリプトを読んでも理解できない文章は、音声情報のみで理解することは決してできません。
例えば小学生相手に「KPI」や「コンプライアンス」などのビジネス用語を話しても、その意味を理解することは困難です。
それと同様に、そもそものインプットが不足していると聴き取れた情報を頭の中でイメージすることができないので、結果として「聴き取れない」という課題に直面します。
もう一つの例を見てみましょう。以下の音声を聴き取れるかチャレンジしてみてください。
以下にトランスクリプトを載せておきます。
- The Premier’s remark exasperated the Opposition.
- 「首相の発言は野党を憤慨させた」
「exasperate:憤慨させる」という語を知らない場合、たとえ音が理解できたとしてもその意味を理解することはできません。
つまりリスニング力を高めるためには、リスニングの勉強だけでなく語彙力など他のインプットを伸ばすことも同じくらい重要なのです。
音声知覚力に原因がある場合
「トランスクリプトを読めば理解できる」場合、音声知覚力に原因があります。
頭の中で「この単語はこの音だ!」と無意識に思い込んでいる音と、実際に聴こえる音とのギャップが開くほど音声を認識するハードルが高くなります。
例えば以下の音声を聴いてみましょう。
短い文章ですが聴き取るのが難しかったと思います。参考までに以下にトランスクリプトを載せておきます。
- If you find this recording, don’t feel bad about this.
- 「音声を見つけても、悪く思わないでください」
if の音が弱形になり最初の [ í ] の音が限りなく消失していることが確認できます。また find this の部分では、語末の破裂音 [ d ] と [ th ] の音がくっつき音声変化を起こしています。
bad about this の部分でも、語末の破裂音 [ d ] と 弱母音 [ ə ] の音、語末の破裂音 [ t ] と [ th ] の音がくっつき一単語ずつ発音するのとだいぶ音声が異なることがわかります。
上記の音声変化を起こしている語彙は全て簡単なものですが、音声性質の違いを理解していないとそんな語彙でも聴き取ることが難しくなります。
音声知覚力を伸ばすためには、英語と日本語の音声性質の違いを理解してその違いを高い精度で再現できるようにすることが重要です。
- リスニング力は「音声知覚力」と「意味理解力」の2つで構成されている
- 意味理解を伸ばすためには語彙やコロケーションのインプットが重要である
- 音声知覚を伸ばすためには英語の音声性質を理解して再現できるようにうすることが重要である