発音応用10. 音声変化 「機能語」
1. 機能語が曖昧な音になるパターン
名詞・動詞・形容詞のようにある程度具体的な意味がある語を「内容語」といいます。
一方で、具体的な意味はないが文の解釈に重要な働きをする語を「機能語」と言います。機能語は主に「前置詞・接続詞・人称代名詞」などが含まれます。
強勢音節が特徴の英語では、特に強調や対比する必要がないときに機能語が「弱く・曖昧に」発音されます。
弱く発音される場合でも、文解釈の際には重要な役割を持っているので、正しく文意を理解する上でこの機能語の聴き取りが非常に重要になります。
また英語の発音が日本語のようになってしまう場合の特徴として、機能語の音が強すぎることが挙げられます。
聴き取れるようになったら、自分でも同じように機能語を曖昧に発音する練習をしてみると良いでしょう。
それでは実際に以下の例を聴いて、機能語が「弱く・曖昧に」発音されていることを確認してみましょう。
最初に弱く発音する音源が、次にあえて強調して発音した音源が流れます:
- Where’re you planing to ask her out?
- You needn’t be afraid of them.
- Don and I plan to go to the park or the zoo.
- She’s not just one of the best violinists, but the best.
上記の(1)〜(3)は、”you” “her” “them” “and” “or” がそれぞれ、[ jə ] [ ə ] [ əm ] [ ən ] [ ɚ ] と弱母音を含んで発音されています。
(4)は同じ “the” でも、最初は [ ðə ] と弱く発音されていますが、最後は強調のために [ ði: ] と発音されていることが確認できます。
練習課題
以下の例を聴いて、機能語が弱くなること、さらに変化した音に注意して発音してみましょう:
- She put her books on her bed when she got home.
- When I find them, I’m going to tell them the news.
- You should give him some money to ride in his car.
- I got this gift for you and not for them.
- I spent a lot of money on a nice box for you.
- I had an essay time on that assignment, unlike this one.
以下の対話では本来弱く発音する部分をあえて強く発音しています。”of” が [ av ]、”he” が [ hi: ] と強形で発音されているので確認してみましょう:
- A: Do you know Peter Brown?
- B: Well, I know of him.
- A: Is John OK?
- B: John? Oh, he’s okay. I’m worried about his brother.
機能語が強調されると音声に違和感を感じると思います。自分で録音した音声を聴くときも、この違和感を意識して聴いてみることが効果的です。
「ネイティブが話している音声と何か違う気がする」という感覚を研ぎ澄ますことで、英語の聴き取りの精度が高まってきます。