英語と日本語の「音節構造」
発音を習得するときに、強勢と同じくらい重要になることが音節構造の理解です。
音節とは、母音を中心としてできている単位を指します。
日本語はの音は「ン」や「ッ」の音を除いて全て母音から成り立っており、子音が連続して発音されるケースは「ャ・ュ・ョ」を用いて表す音だけです。
一方で、英語は子音で終わる音や子音が連続される音が数多くあります。
より自然な英語の音を生成するためには、音の構造自体が母語と大きく異なるということを正しく理解することが大切です。
ということで音節構造について学んでいきましょう。
1. 日本語の音節構造の特徴
母音を中心としてできている単位を音節(Syllable)と呼びます。この音節の違いを理解することが、英語の発音を習得するうえでとても重要になる要因になります。
日本語の音節は母音(Vowel)だけから成るものと、子音(Consonant)+ 母音(V)から成るものがほとんどです。
日本語で音節が子音(C)で終わるのは、「ン」「ッ」で表せる語のみです。また子音(C)が連続する場合は「ャ・ュ・ョ」で表せてる音だけです。
参考までに以下の表を見てみましょう:
V | ・ひらがな:あ・い・う・え・お ・ローマ字:a / i / u / e / o |
CV | ・ひらがな:ま・み・む・め・も ・ローマ字:ma / mi / mu / me / mo |
VC | ・ひらがな:あん・いん・うん・えん・おん ・ローマ字:an / in / un / en / on |
CVC | ・ひらがな:ばん・びん・ぶん・べん・ぼん ・ローマ字:ban / bin / bun / ben /bon |
CVC | ・ひらがな:はっぱ・かっこ・かって ・ローマ字:hap + pa / kak + ko / kat + te |
CVC | ・ひらがな:きゃく・きゅう・きょく ・ローマ字:kya + ku / kyu + u / kyo + ku |
上記の表をみるとわかるように、日本語では基本的に「V」「CV」と音が母音とほとんど結びつき子音の連続は極めて限定されます。
一方で、英語は母音を挟んで音節の先頭部にも末尾部にも子音の連続が頻繁に生じます。
日本語話者が英語を上手く発音できないことと同じように、英語話者も聴き取りや発音が難しい音があります。以下の例文を聞いてみましょう:
- I’m leaving Tokyo at three for Kyoto.
英語には「キャ」「キョ」のような子音連続がありません。(cat は [kˈæt] と発音され [kˈjæt] ではありません。似ている音ですが母音が違います)
そのため、英語話者が「東京」「京都」と話すときは「トキオウ」「キヨウト」と発音される訳です。
2. 英語の音節構造の特徴
英語も母音を中心として音節が構成されることが多いですが、日本語よりも遥かに多くの子音連続で始まる語、または終わる語があります。
音節1つでできている単語を「単音節語」といいます。英語の単音節語は基本的にCVCの形をしており、単語の頭で3つ、終わりで4つまで子音が連続できます。
これを日本語のように「子音の後には母音が続く」と期待して聴くと、リスニングができないということが起こります。
CVC | lip / pet / fog / tool |
CCVC | flip / pride / spin / trip / grip |
CCCVC | split / strike / scratch |
CVCC | crisp / tasl / rhythm / film / fact |
CVCCC | first / length / risks / whistled |
CVCCCC | tinkles / tumbles / singles / points |
「英語が日本語っぽく聴こえる」ことの原因は、本来子音連続(CCVCなど)が起こっているはずの単語に母音の音が結びつくことにあります。
子音が母音と結びつくことで音が「重く・のっぺり」とします。
この状態でオーバーラッピングやシャドーイングをしようとすると、早口でカタカナを読むような音が出て学習効果が高まらないので注意しましょう。
次に以下の例文を見てみましょう:
- Do you know me?
- Are you ready?
- May I go now?
上記の例の音節はCV(子音+母音)の連続なので、日本語の音節構造とほぼ等しく、発音でも聴き取りでも易しいです。
しかし上記のような例は非常にまれで、むしろ子音で終わる単語の方が遥かに多くあります。
次の例を注意して聴き取ってみましょう:
- Jen bought this for him? (CVC)
- Chris flew from Spain through a storm. (CCVC)
- They straggled from the street into the stream. (CCCVC)
- We must stand up and speak up. (CVCC)
- First, the guards frisked us. (CVCCC)
最初の例文と比べると、発音とリスニングの難易度が上がると思います。というのも、いずれの例文も日本語に馴染みのない音節構造だからです。
日本語と英語の音節構造の違いを認識することは、リスニング力の向上と発音上達の第一歩なので、うやむやにせずにしっかりと理解していきましょう。
練習問題
以下の例文を音節構造を意識しながらオーバーラッピングしてみましょう。
オーバーラッピングしたものは録音して、オリジナルの音声と聴き比べて振り返りと改善をおこなってください。
- Jen bought this for him? (CVC)
- Chris flew from Spain through a storm. (CCVC)
- They straggled from the street into the stream. (CCCVC)
- We must stand up and speak up. (CVCC)
- First, the guards frisked us. (CVCCC)