子音05. [ r ] と [ l ] の発音
[ r ] と [ l ] のいずれの発音も、日本語の「ラ行」とは異なるため使い分けが難しい発音です。これらの発音は、語頭・語中・語尾のどの部分で発音するかによって難易度が異なります。
舌の柔軟性も重要になるので、最初のうちはゆっくりと発音して、徐々にスピードをあげて慣らしていきましょう。(なお [ r ] の発音は、[ ɚ ] の発音とほとんど同じニュアンスのため、この場では同じように説明しています)
[ r ] 発音の手順
[ r ] の発音は、単音で発音する場合は非常にシンプルです:
- 口を「ア」と発音するときのように自然にあける
- 舌先で喉を触るイメージで喉の奥に舌先を置く
- 舌先が喉に向いた状態で「アー」と音を出す
舌先で喉の奥(いわゆる喉ちんこの部分)を触ろうとした状態で「アー」と発音すると、自然と舌が巻かれこもった音が出ます。
いまいち理解できない場合は、以下のイメージを参考にしてください:
以下のような音がでていれば再現ができています:
慣れないうちは、必要以上に舌先を喉の奥に持っていき [ r ] の音感覚を身につけましょう。慣れてくると、少し舌先を浮かすだけでも同じ音を生成できるようになります。
少し舌先を浮かせた状態で [ r ] の発音ができるようになると、語中や語尾の [ r ] も発音できるようになります。
語中や語尾の発音は、前後で違う音を生成するために舌の位置をダイナミックに動かす必要があります。そのため、できる限り小さい舌の動きで [ r ] の発音をする必要があります。
[ r ] の発音に慣れてきたら、実際に単語を発音してみましょう:
- right [ rάɪt ]
- bright [ brάɪt ]
- bar [ bάɚ ]
語尾の [ r ] は、(今回の場合)「バー」といいながら若干舌を浮かすだけで舌が巻かれてきれいな [ r ] が出ます。基本的に、少し舌を浮かすだけで十分です。
参考動画 – [ r ]
[ l ] 発音の手順
次に [ l ] の発音の手順をみていきましょう:
- 口を「ア」と発音するときのように自然にあける
- 舌先を前歯の裏側につけてそのまま口蓋(口の天井)にスライドさせる
- 口蓋のへこみ(又はでっぱり)に舌先を押し付ける
- 舌先を押し付けた状態で「アー」と音を出す
- (実際に発音するときは)押し付けた状態からピンっと舌先を前に弾く
[ l ] の発音を学習をしていて「前歯の裏に舌をつけて音を出す」という説明が書かれていることが多いです。しかし、アジア人種は欧米人種に比べて舌が短いので、舌先を前歯につけて音を出すこと自体が難しいケースが多いです。
前歯の裏で [ l ] の音を出すことば難しい場合は、口の天井(口蓋)部分にあるへこみに舌を置いてみると発音できるようになります。
参考までの以下のイメージを確認してください:
試しに、上記の赤丸のポイントに舌先を押し当てて「あー」と音を出してみましょう。「ヴー」に近い音が出ると思います。それが本来の [ l ] の音です:
続けて、押し当てた舌をデコピンをするように舌を一気に弾いてみましょう。そうすると軽快な「ラ」の音が出ます。
[ l ] の発音に慣れてきたら、実際に単語を発音してみましょう:
- light [ lάɪt ]
- align [ əlάɪn ]
- ball [ bˈɔːl ]
語尾の [ l ] は、「ラ行」の音ではなく、小さな「ゥ」の音を出すイメージで発音するときれいに発音することができます。
参考動画 – [ l ]
[ r ] と [ l ] の発音の違い
[ r ] の発音は舌先を喉の奥に移動させる音ですが、[ l ] はその逆で舌先を唇の方面に移動させる音です。
[ r ] の音は舌がかなり持ち上がるので自然と「こもった音」になり、 [ l ] の音は前に弾くので「軽く・軽快な音」になります。
練習課題
動画内の例文を [ r ] と [ l] の音に気をつけながら、音源を真似して発音してください:
- Wrong [ rˈɔŋ ], Long [ lˈɔŋ ]
- Royal [ rˈɔɪ(ə)l ], Loyal [ lˈɔɪ(ə)l ]
- Misread [ mɪˈsred ], Misled [ mɪˈsled ]
- Pirate [ pάɪrət ], Pilot [ pάɪlət ]
- Pray [ préɪ ], Play [ pléɪ ]