強勢拍子を理解する
ネイティブのような発音を生成するために最も重要なことは、「強勢拍子」を理解することです。
強勢拍子とは、ストレスが付く語を中心に音が構成されている言語を指します。英語はこの強勢拍子の性質があるので、音ごとの強弱を明確にして発音されます。
一方で日本語は「音節拍子」の性質を持っています。
音節拍子とは全ての語に同じ強さのストレスを付けて音が構成される言語で、英語に比べると一定のリズムで音が生成される性質があります。
これらの性質の違いを理解せずに発音を真似しようとしても、どこか「日本語のような英語」になってしまい流暢性を高めることができません。
ということで、今回のレッスンでは英語の「強勢拍子」について理解を深めていきましょう。
1. 英語と日本語の強勢の違い
まずは以下の例文を聴いてみましょう。(赤丸の部分は強勢の位置を示しています)
- English is easy.
- English is very easy.
- An English lesson is very easy.
A, B, Cでは、単語の数つまり「音節」が増えています。日本語は音節が増えるほど発話が長くなりますが、英語ではいずれの発話も長さがほとんど変わらないことが分かります。
というのも英語の「強勢拍子」で発音した場合、強勢がかかる部分はどの文も「Eng-」と「eas-」の2点だけだからです。
仮に日本語のリズム(音節拍子)で音を発音しようとした場合かなり早口に英語を話す必要があり、発音することも大変だと思います。
英語のような強勢拍子の特徴は「強勢のある音節(単語)にビートが来る」、「ビートとビートの間にある音節は、その数に関係なく同じ時間内に発音される」ところにあります。
一方で日本語のような音節拍子では「全ての音節にビートがくる」のが特徴です。
2. 「文強勢」と「語強勢」の違い
英語の強勢には2種類あり、辞書などで単語にかかる強勢を「語強勢」と、例文のようにセンテンスにかかる強勢を「文強勢」と言います。
「語強勢」は辞書などを調べたときに [ ‘ ] が示してあり、「その単語が単独で発音されるときに、どの部分が強く発音されるか」を表しています。
一方で「文強勢」は、「話し手がそのセンテンスの中で重要だと考える単語に与える強勢」を示します。
3. 文強勢がないと音が消失する
まずは例文を聴いてみましょう:
- As a matter of fact, he tried to wipe out all of them. Horrible. Horrible.
上記の赤い丸のある部分に文強勢がかかっています。
文強勢のある音節は「ゆっくり・強く」発音されるのに対して、文強勢のない音節は「速く・弱く」発音されます。速く・弱く発音されるということは、音が消失する傾向が強くなるということです。
日本語話者の特徴として、全ての英単語をハッキリと発音する傾向があります。
しかし実際は文強勢がない部分を「少し適当に発音する」くらいの感覚で話した方が、全体として意味が伝わりやすくなることが多いです。
練習問題
赤丸の部分は文強勢がかかっている音節です。
文強勢がかかる部分とかからない部分を意識しながら、下記の例文をオーバーラッピングしてみてください。
オーバーラッピングは録音して、オリジナルの音声と聴き比べながら改善できる部分を探してみましょう。
- After a while he fell fast asleep.
- I have said so over and over again.
- He keeps coughing and has a temperature.
- They are murderers.