基本の回答方法
英語で「話す・書く」際の基本の型をArgumentと呼びます。
Argument(論理展開)はクリティカル・シンキングの要素の一つで、「説得力のある主張を展開するための話の構成・論法」を意味します。
基本的にIELTSのスピーキングは、このArgumentの構成に沿って回答していきます。
以下がArgumentの基本の型です。
質問や議題では、最初に自分のスタンスを明確に示す必要があります。これは “Thesis Statment” とも呼ばれ、Argumentの核となるメッセージです。
続けて、「なぜそのようなスタンスをとるのか(Why So)」を述べることで主張に説得力を持たせていきます。
そして最後に、理由を裏付けるための論拠(客観的なデータや具体的な事例)を示します。
例えば、
- What are the most useful tools for your studies?
- 「勉強に最も役立つツールは何ですか?」
という質問に対して、Argumentを意識して回答を考えてみましょう。
- Claim: I’ts definitely my smartphone.
- 「私のスマートフォンです」
- Reason: Because I can study everywhere, anytime.
- 「いつでもどこでも勉強することができるからです」
- Evidence: For example, I often study English vocabulary on my way to school using one of the apps on my phone. It’s handy and lighter than a book so I can check it in my spare time.
- 「通学中にスマートフォンのアプリを使って英単語を勉強します。便利で本と比べると軽いので隙間時間があればいつでもチェックできます」
「スマートフォンが役に立つ」という抽象度の高い主張に対して、理由と具体例を述べることで「どのように役に立つのか」をより具体的に述べていることが分かります。
カジュアルなトピックでは論拠は主に自分の過去の経験を挙げる場合が多いですが、ビジネスシーンやアカデミックな場面ではFact(客観的に判断できる事実)やStatistics(統計値やデータ)を挙げることが一般的です。
サンプル問題と回答
以下の質問に対するArgumentの良い例と悪い例の2つを載せるので参考にしてください。
- Are you good at art?
- 「あなたは芸術が得意ですか?」
解答例をみる前に、自分でも頭の中で上記の質問に対してどのように回答するかを考えてみてください。
良いArgument構成
- Yes, I think I am good at art. It’s because I attended some art classes during my teen years. They were a great help during my growing years and taught me a lot of creativity. Now, I can easily draw simple day-to-day things like a pen or a face.
- 「そう思います。というのも、学生だった時に美術のクラスに参加していたからです。芸術を学んだことはとても役に立ちクリエイティビティが身につきました。今では、ペンや顔などのシンプルなものならを簡単に描くことができます。」
上記の例では「なぜ Art が上手いと言えるのか」という理由に対して、「芸術の授業を受講していたからである」と関連度の高い理由を述べることができています。
また、「今はシンプルな絵なら簡単に書ける」と「絵がどれくらい上手いのか」を証明する論拠も述べることができています。
全ての回答は質問との関連度が高く論理的な繋がりが明確なので、良いArgumentであると考えられます。
悪いArgument構成
- No, I’m not good at art. Actually, I’m not interested in art so I don’t know the value of Pablo Picasso’s drawings. But my partner loves it so I often go to a museum with her.
- 「そう思いません。私は美術が嫌いでピカソが何が良いのか分かりません。しかし私のパートナーは美術が好きなので美術館によく行きます。」
上記の例では「なぜ Art が上手くないのか」という理由に対して、「芸術に興味がない」という理由を述べています。
一見問題はなさそうですが、「Artが上手くないと言える理由」としては関連度が低く、質問の意図から逸れた回答になっていることがわかります。(仮にこれが論理的に正しいのならば、「興味がないものは全て上手くない」というロジックが正しいことになってしまいます)
また、”But” 以下でさらに質問の意図とは関連度の低い話が展開されており、質問に関連のある回答は “No, I’m not good at art.” の部分のみであることが分かります。
「Claim:主張」に対する「Reason:理由」の関連度が低く、また「Evidence:論拠」も述べることができていないので、悪いArgumentであると考えられます。
- Argument(論理展開)は「主張→理由→論拠」の順に展開するのが基本
- 論拠には個人的な経験・データ・統計などを挙げる
- 良い Argument は主張との関連性が高い